【ピアノ】左手ピアノ音楽の参考文献・資料・レビュー 記事まとめ:事典・書籍・音源の活用ガイド
はじめに
左手ピアノ音楽についてさらに深く調べたい方のために、参考文献・資料に関する記事をまとめました。一般的な事典での掲載状況、リサーチの方法、楽譜の購入先、専門書籍、そして参考になる音源まで、資料探しに役立つ内容を揃えています。
► 記事一覧
‣ 一般事典との比較
【ピアノ】代表的なピアノ曲事典6冊に左手作品はどれだけ載っている?:掲載状況を調査・比較
千蔵八郎「ピアノ音楽史事典」「名曲事典 ピアノ・オルガン編」「ピアノ学習ハンドブック」、F.E.カービー「鍵盤音楽の歴史」、井口基成ほか編「ピアノ音楽事典 作品篇」、高橋淳「ピアノ・レパートリー事典」という、ピアノ学習者に長年親しまれてきた定番事典6冊を実際に確認し、左手作品の掲載状況を調査・比較した記事。掲載数は最大でも十数曲に留まり、解説が付いている例もごくわずかであるなど、一般的な事典だけで左手作品の情報を集めることの限界を具体的なデータで示しています。
‣ リサーチ方法
上記の事典比較記事が示した「資料の絶対量の少なさ」だけでなく、片手音楽に関する情報が一般的な音楽資料の入口から見えにくい位置にあること自体が、情報を探しにくくしている構造的な要因であることを整理した記事。「その人物について調べた」だけでは片手音楽の核心にたどり着けない実例を紹介するとともに、マルグリット・ロンの回想録のように、目当ての人物・作品名だけでは辿り着けない資料も存在することを指摘しています。「その人物の片手音楽について調べる」という視点への転換の必要性、そして専門文献の存在を知ることが調査の現実的な出発点になることを説明しており、次に紹介する「調べ方」記事を読む前の導入としてもおすすめです。
筆者が左手作品を調べる際に活用してきた方法を、書籍・楽譜・音源・研究資料の観点からまとめたガイド記事。定番の専門事典(「Piano Music for One Hand」「One Handed」)の使い分け方に加え、楽譜に付属する作品解説が持つ資料的価値、CDブックレットの活用法、論文・研究紀要の探し方まで具体的に解説しています。以下でご紹介する個別の書籍・音源レビューとあわせて読んでいただくと、資料探しの全体像がつかめます。
‣ 楽譜の購入先・注意点
【ピアノ】片手作品の楽譜はどこで買う?:楽譜店の歩き方と国内厳選4店舗
片手作品の楽譜を取り扱っている国内の楽譜店を4店舗厳選して紹介する記事。実店舗とネット注文の両方に対応した店舗、輸入楽譜に強い専門店など、それぞれの特徴・在庫状況・注文時の留意点を解説しています。
【ピアノ】「Left Hand Alone」と書いてあっても左手独奏とは限らない:輸入楽譜購入で気づいた注意点
Kalmus社の復刻譜「Tchaikovsky – Four Arrangements」を例に、「left hand alone」という表記が必ずしも左手独奏を意味しない実体験を紹介する記事。古い版の復刻譜では現代とは異なる意味合いで使われている場合があることを指摘し、片手音楽事典での確認や演奏動画の視聴など、購入前に確認しておきたいチェックリストを提示しています。輸入楽譜を購入する際は、上記の楽譜店紹介とあわせてご一読ください。
‣ 海外資料の取り寄せ
【ピアノ】左手音楽の海外資料、取り寄せに何日かかる?実際の注文から到着までを記録
複数の左手音楽関連資料を実際に海外から取り寄せ、注文から到着までの日数や追跡状況を記録した記事。発送国・追跡状況・配送予定の変化まで、実体験を基に紹介しています。上記の楽譜店・輸入楽譜の記事とあわせて、資料を海外から取り寄せる際の参考にしてみてください。
‣ 書籍資料
【ピアノ】レイモンド・レヴェンタール「Piano Music for One Hand」レビュー
レイモンド・レヴェンタール編集による楽譜集「Piano Music for One Hand」(G. Schirmer刊、1972年出版)の紹介記事。バルトーク・スクリャービン・サン=サーンスなどのオリジナル作品に加え、J.S.バッハやショパンの左手用編曲、レーガーやライネッケといった比較的マイナーな作曲家の作品まで網羅した収録曲一覧を掲載しています。冒頭に置かれた左手演奏の意義・運指・ペダリング・姿勢に関する解説部分にも触れており、これから左手独奏に取り組む方への一冊としてもおすすめです。
【ピアノ】Ruby Morgan「An Anthology of Piano Music for the Left Hand Alone」完全ガイド
自身もフォーカル・ジストニアを経験した奏者・教育者であるRuby Morganが編纂した、全167ページに及ぶ左手作品アンソロジーの紹介記事。Lewenthal版と並ぶ代表的な左手作品集の一つで、20〜21世紀の作品を数多く収録している点、1曲ごとの解説が丁寧な点が大きな特徴です。運指やペダリングの書き込み、装飾音の書き出しなど学習者への配慮も細やか。既存編曲の新たな校訂に加え、このアンソロジーで初めて出版された作品についても解説します。
【ピアノ】「Piano Music for One Hand」(テオドール・エーデル 著)レビュー:片手ピアノ音楽の歴史と作品カタログ
片手のためのピアノ音楽に関する英語の専門書「Piano Music for One Hand」(Theodore Edel 著、Indiana University Press)の紹介記事。片手音楽の歴史的背景やドレイショク、フマガリ、ジチ、ヴィトゲンシュタインといったキーパーソンについての解説に加え、左手独奏曲・右手独奏曲・オーケストラとの共演作・室内楽の4カテゴリーに分けた作品カタログを掲載しています。
【ピアノ】「One Handed」(ドナルド・L・パターソン 編)レビュー:片手ピアノ作品を探すための実用的リファレンス
片手のためのピアノ音楽に関する英語の専門書「One Handed:A Guide to Piano Music for One Hand」(Donald L. Patterson 編、Greenwood Press)の紹介記事。右手独奏・左手独奏・編曲・協奏的作品・アンソロジー・ディスコグラフィーまで2,100を超える作品を網羅したカタログで、エーデル著作と並ぶ片手ピアノ音楽の基礎資料となっています。歴史的解説よりも楽曲事典としての実用性を重視した一冊で、具体的な作品を探す際の参照先として活用できます。
【ピアノ】「One Handed」(ドナルド・L・パターソン 編)レビュー:片手ピアノ作品を探すための実用的リファレンス
片手のためのピアノ音楽に関する英語の専門書「One Handed:A Guide to Piano Music for One Hand」(Donald L. Patterson 編、Greenwood Press)の紹介記事。右手独奏・左手独奏・編曲・協奏的作品・アンソロジー・ディスコグラフィーまで2,100を超える作品を網羅したカタログで、エーデル著作と並ぶ片手ピアノ音楽の基礎資料となっています。歴史的解説よりも楽曲事典としての実用性を重視した一冊で、具体的な作品を探す際の参照先として活用できます。
【ピアノ】片手ピアノ音楽に関わった人物はどの国に多い?:パターソン「One Handed」の掲載人物を国別に集計
上記「One Handed」に掲載された635名の人物を名寄せし、記載された国名をもとに国別分布を集計した記事。アメリカが群を抜いて多く、次いでドイツ・オーストリア、イギリス、フランスと続く傾向や、右手独奏と左手独奏とで国別分布に見られる違いなど、資料を横断的に読み解くことで見えてくる片手音楽の地域的な広がりを紹介しています。国名表記の扱いなど集計方法の留意点についても記事内で詳しく説明しています。
【ピアノ】片手ピアノ音楽を担ったのはどの時代の人物?:パターソン「One Handed」掲載人物の生年を集計
上記「One Handed」に掲載された635名のうち、生年が判明した496名を対象に、10年刻みで生年分布を集計した記事。もっとも人物が多いのは1890年代で、1910〜1930年代にかけても層が厚いことを示し、その背景としてヴィトゲンシュタインの委嘱による左手作品の隆盛や、アメリカにおける音楽教育出版の拡大を挙げています。年代を50年区切りで国別分布と重ねた表も掲載し、18〜19世紀前半のドイツ語圏中心の傾向から、1850年以降アメリカが最多となっていく変化を追っています。
【ピアノ】片手音楽に関わった女性たち:パターソン「One Handed」に見る女性作曲家・編曲家の存在感
上記「One Handed」に掲載された635名の中から、名前をもとに女性である可能性が高い人物93名(約14.6%)を抽出し、その傾向を集計した記事。国別分布は全体の傾向とおおむね一致してアメリカが最多である一方、生年で見ると1899年以前生まれでは約6.0%だった割合が1900年以降生まれでは約21.0%まで上昇するなど、時代が進むほど存在感が増していく様子を示しています。また、右手独奏・左手独奏では一定の割合が見られる一方、編曲や協奏曲の章にはほとんど女性の名前が見当たらないなど、ジャンルによる偏りにも触れています。
【ピアノ】国境を越えた作曲家・編曲家たち:パターソン「One Handed」に見る片手音楽と人の移動
上記「One Handed」に掲載された635名のうち、出身国と活動国が異なる「国境越え作曲家・編曲家」56名(全体の約9%)を抽出し、その移動パターンを集計した記事。ヨーロッパ諸国とアメリカの組み合わせが際立って多く、56名中37名がアメリカと何らかの形で結びついていることを示しています。19世紀のヴィルトゥオーゾたちの新大陸行きに始まり、1930年代前後のナチス政権下からの亡命、戦後のオーストラリア・カナダなど多様な行き先への広がりまで、時代背景ごとの移動の傾向も解説します。
なお、これらの『パターソン「One Handed」に見る』シリーズの記事は「【ピアノ】パターソン「One Handed」に見る、片手ピアノ音楽をめぐる多角的な視点 まとめガイド」でも通して紹介しています。関連づけて読みたい方はこちらもご参照ください。
【ピアノ】ヴァルター・ゲオルギイ「片手で弾くピアノ曲集」レビュー:収録曲・難易度・資料としての価値
ヴァルター・ゲオルギイが編纂した楽譜集「片手で弾くピアノ曲集 オリジナル作品と編曲作品集」(音楽之友社、1998年刊)の紹介記事。原著は1955年にケルンのトンガー社から出版された「Einhändig」全2巻のうち第1巻にあたり、C.P.E.バッハやレーガー、スクリャービンらによるオリジナル作品と、J.S.バッハやシューマンなどの編曲作品を収録しています。楽譜だけでなく、巻末には演奏法・編曲技法・作曲史に関する7ページの解説が付されており、片手ピアノというジャンルを一冊で概観できる資料としての価値も紹介しています。
【ピアノ】片手ピアノ音楽を知る手がかり:ゲオルギイ『Klaviermusik』の「片手のための音楽」
ヴァルター・ゲオルギイ著、ピアノ音楽史解説書「Klaviermusik」(ドイツ語、1984年刊・第6版)の紹介記事。巻末付録として設けられた「片手のための音楽」の項目(約5ページ半)を中心に取り上げ、作品リストに留まらず、作品ごとにゲオルギイ自身による評価が添えられている点を解説しています。スクリャービンOp.9への高評価やドライショク作品への辛口な評価など具体例を紹介するほか、ニーマンやフィビフといった他の文献では見かけにくい作曲家の名前が挙げられている点、ピアニスト、ジークフリート・ラップとの交流が内容に反映されている点にも触れています。
【ピアノ】ヴァルター・ゲオルギイの片手ピアノ観:4つの著作から読み解く
ヴァルター・ゲオルギイによる4つの著作——ピアノ音楽史研究「Klaviermusik」、実践的助言集「ピアニストの手帖」、曲集「Einhändig」全2巻——を横断的に読み解き、彼の片手音楽に対する一貫した姿勢を浮かび上がらせた記事。名人芸の披露ではなく演奏する喜びを重視する編纂方針、けがをした奏者から生まれつき片手しか使えない子供たちまで幅広い当事者を対象とする視点、そしてその背景にある歴史研究・編曲技法という学術的裏付けの3点を軸に解説しています。個別の書籍レビューだけでは見えにくい、ゲオルギイという音楽家の全体像をつかむための記事としておすすめです。
【ピアノ】左手ピアノ音楽を探す手がかり:「The Pianist’s Resource Guide」の書誌情報から
Joseph RezitsとGerald Deatsmanによる大部の書誌資料「The Pianist’s Resource Guide」(1978〜79年改訂版)について、左手音楽記述部分に特化して紹介する記事。ほんらいは左手音楽専門の書籍ではなく、ピアノ音楽全般を対象とした約1500ページの索引資料でありながら、「Music For Left Hand Alone」という独立した特別検索項目が設けられている点に着目しています。作曲家別に演奏会用レパートリーから教則本・練習曲、既存作品の左手用編曲まで幅広く収録されており、出版社名・出版番号などの書誌情報が残されている点は、絶版楽譜や旧版を追跡する際の手がかりとしても有用です。
‣ 論文・研究資料
【ピアノ】ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」の演奏・解釈を深める:Lauの研究論文を読む
スタンフォード大学に提出されたSandra Wing-Yee LauによるD.M.A.論文「The Art of the Left Hand」(1994年)の紹介記事。ラヴェルの左手協奏曲におけるソロとオーケストラの音色的対比、身体の使い方やペダリング、ヴラド・ペルルミュテールによる運指の助言など、演奏・解釈上の考察に多くのページが割かれている一方、Chapter3のレパートリー目録には表記の不正確さなどが見られ、資料として鵜呑みにはできない点も指摘しています。ProQuest(UMI)経由でPDFを購入可能。
‣ 音源資料
【ピアノ】パウル・ヴィトゲンシュタイン「Paul Wittgenstein: Plays Music For The Left Hand」レビュー
パウル・ヴィトゲンシュタインが1958年にリリースしたアルバムレビュー。ラヴェル「左手のための協奏曲」(マックス・ルドルフ指揮 / メトロポリタン歌劇場管弦楽団)を中心に、バッハ=ブラームス「シャコンヌ」やシューベルト=リスト「Meeresstille」、レーガーの2作品など、ヴィトゲンシュタイン自身による再編作も含むプログラムです。1937年盤とは異なる後年のラヴェル録音である点や、演奏解釈についても解説しています。
【ピアノ】スミス&セリック夫妻の3手デュオ「Concertos for Phyllis and Cyril」レビュー
シリル・スミスとフィリス・セリック夫妻のために書かれた作品、夫妻の3手演奏に対応した作品を収めた1970年リリースのLPレビュー。マルコム・アーノルド、アーサー・ブリス、ゴードン・ジェイコブという、スミスの3手レパートリーを語るうえで欠かせない3人の作曲家による協奏的作品を収録し、指揮はマルコム・アーノルド、オーケストラはバーミンガム市交響楽団が担当しています。ジャケット裏面に掲載された作曲家3人の直筆サイン・コメントなど、音源以外の資料的価値についても紹介しています。
【ピアノ】スミス&セリック夫妻の3手デュオ「Cyril Smith & Phyllis Sellick: Piano Duos」レビュー
シリル・スミスとフィリス・セリック夫妻による、1974年7月録音アルバムのレビュー。フランク、メンデルスゾーン、シューベルト、フォーレの作品を、3手という形で演奏したアルバムです。ジョン・オドムによる編曲や、大幅な改変なしに4手作品を3手化するという夫妻の編曲観についても触れています。シリル・スミスが世を去るわずか1ヶ月前の録音であり、夫妻にとって最後の録音となった点も特徴と言えるでしょう。
【ピアノ】ラウル・ソーザ「An Anthology for the Left Hand」レビュー
アルゼンチン生まれ、カナダを拠点に活動したピアニスト、ラウル・ソーザによる1997年リリースの2枚組アルバムレビュー。J.S.バッハから20世紀の作品まで幅広い時代の左手レパートリーを収録し、中でもバッハ/ソーザ編「半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903」、ラヴェル/ソーザ編「ラ・ヴァルス」という、ソーザ自身が手がけた大作編曲2曲が聴きどころです。Tisné「Lac」やBrenet「Océanides」など、一般にはあまり知られていない作品が収められている点も特徴です。
【ピアノ】ヴァクフゼン「Für die linke Hand allein」レビュー:左手ピアノ作品史をたどる一枚
ドイツのピアニスト、アニヤ・ヴァクフゼンによる2002年録音のアルバムレビュー。バロックから近現代まで時代順に構成された選曲が特徴で、左手作品というジャンルの歴史を一つの流れとして俯瞰できます。ベルガーの「Op.12-9(左手独奏最初期の作品の一つ)」やマルクスゼン「ドライショクへのオマージュ」など、歴史的に重要でありながら普段目にしにくい作品を含む点が大きな魅力です。
【ピアノ】レオン・フライシャー「左手のためのピアノ協奏曲集・ピアノ作品集」レビュー:左手作品の名盤
アメリカのピアニスト、レオン・フライシャーによる名盤の2009年復刻盤(録音1990〜1991年)をレビュー。ラヴェル・プロコフィエフ・ブリテンという左手協奏曲の主要3作品(Disc1)と、サン=サーンスやスクリャービンら代表的な左手独奏作品(Disc2)を一つのセットで網羅した、このジャンルへの入門盤としても適した録音です。装飾を排した客観性重視の演奏解釈や、フライシャーに献呈されたサクストン「シャコニィ」の収録についても触れています。
【ピアノ】ポール・コーカー「Malgré Tout…Piano music for left hand」レビュー
イギリスのピアニスト、ポール・コーカーによる2012年リリースのアルバムレビュー。ブルーメンフェルドやスクリャービンといった左手作品の名曲から、コーカー自身が加筆・編曲を施したワーグナーやバッハ=ブラームスの「シャコンヌ」、さらにメルソン・ブリッジ・ポンセといった知られざる現代作品まで、幅広い時代とスタイルの左手作品を一枚に収めたプログラムが特徴です。演奏家としてだけでなく編曲者としての個性が反映された一枚で、既存の編曲版との比較を交えながら解説しています。
【ピアノ】ステファン・ヴァルズィッキ「Piano Music for the Left Hand」レビュー
東京生まれ・アメリカ育ちのピアニスト、ステファン・ヴァルズィッキによる2015年リリースのアルバムレビュー。J.S.バッハに始まりJ.S.バッハに終わる構成の中に、サン=サーンス、フランク・ブリッジ、リパッティ、フランツ・シュミット、スクリャービンといった近現代の左手作品を配したプログラムが特徴です。録音数が比較的少ないフランツ・シュミット「左手のためのトッカータ」や、スクリャービンのOp.9を素材にしたT・K・マーレイの現代作品など、珍しい選曲にも出会える一枚です。
【ピアノ】アルトゥール・シミホ「Géza Zichy: Complete Piano Works」レビュー
ブラジル出身のピアニスト、アルトゥール・シミホによる2016年リリースのアルバムレビュー。姉妹盤「Complete Piano Transcriptions」とは対照的に、ゲザ・ジチーの左手オリジナル作品を中心とした収録内容です。現存する左手独奏ソナタとして最初期の一つとされる「左手のためのピアノソナタ」(1887年出版)や、シューベルトの歌曲を左手独奏用に編曲した「魔王」など、資料的価値の高い楽曲の収録について解説しています。
【ピアノ】アルトゥール・シミホ「Géza Zichy: Complete Piano Transcriptions」レビュー
ブラジル出身のピアニスト、アルトゥール・シミホによる2016年リリースのアルバムレビュー。ゲザ・ジチーが手がけたピアノ編曲作品に的を絞った内容で、J.S.バッハ「シャコンヌ」、ショパン「軍隊ポロネーズ」、リスト「愛の夢 第3番」、そして本作最長トラックとなるワーグナー「タンホイザーによる幻想曲」など、規模の大きい編曲作品を左手のみで弾き切る技巧が聴きどころです。現在では演奏機会の少ないジチーの編曲作品をまとめて聴ける貴重な記録として紹介しています。
【ピアノ】ニコラス・ロス「Godowsky: Apostle of the Left Hand」レビュー
アメリカのピアニスト、ニコラス・ロスによる2020年リリースのアルバムレビュー。編曲作品で広く知られるゴドフスキーですが、本作ではあえて編曲作品を外し、「左手のための組曲」「左手のための演奏会用アルバム」「左手のための6つのワルツポエム」というオリジナルの左手作品だけに焦点を当てています。正統的で癖の少ない演奏解釈により、ゴドフスキーの作品そのものの魅力を素直に味わえる一枚です。
【ピアノ】アドリエンヌ・E・ワイリー「Wonderful One-Handed Piano Music by Women Composers」レビュー
ピアニスト、アドリエンヌ・E・ワイリーによる2023年リリースのアルバムレビュー。女性作曲家による片手作品だけを集めたコンセプトアルバムで、ミリアム・ハイド、ダイアン・ゴールカシアン・ラービーら、普段はあまり耳にする機会のない作曲家たちの作品を収録しています。ハイドとラービーはそれぞれ複数曲が選ばれており、資料としての厚みも感じられる一枚です。
【ピアノ】ジョヴァンニ・ネシ「Original and Transcribed Piano Music for the Left Hand」レビュー
イタリアのピアニスト、ジョヴァンニ・ネシによる2024年リリースのライブ録音レビュー。バロックから現代までを網羅し、オリジナル作品と編曲作品を組み合わせたプログラムが特徴です。ジチーなど、録音機会が少ないけれども左手ピアノの歴史において重要な作品に加え、ソリーニとルッソによる2曲の世界初録音も収録しています。バッハ=ブラームスの「シャコンヌ」を中心に据えた構成や、ポンセ「マルグレ・トゥー」における演奏解釈(ヴィトゲンシュタイン奏法との関連)についても解説しています。
片手ピアノ学習参考音源ライブラリー:演奏解釈を学ぶ厳選録音集
片手作品を収録したおすすめの録音を紹介しています。学習参考音源を探している方はご活用ください。
‣ 映像資料
【ピアノ】公式映像で見るパウル・ヴィトゲンシュタイン:ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」
ABC Classic 公式YouTubeチャンネルで公開されている、パウル・ヴィトゲンシュタイン本人によるラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」演奏映像(1933年パリでの演奏に関連するとされるパブリックドメイン素材)を紹介する記事。1分21秒という短い映像ながら、着席位置・上体の動き・打鍵の特徴など、文字資料だけでは伝わりにくい身体的な情報を読み取れる貴重な一次資料です。
【ピアノ】片手ピアノ関連ドキュメンタリー映画「パウル・ヴィトゲンシュタイン、オール・イン・ワン・ハンド」レビュー
ドキュメンタリー映画「Paul Wittgenstein, All in One Hand」(2009年、マイケル・ベイヤー監督、medici.tv配信・日本語字幕なし)のレビュー記事。親族や関係者への複数のインタビューを軸に、単なる演奏映像集ではなくパウル・ヴィトゲンシュタインという人物そのものを掘り下げた内容が特徴です。ラヴェル、コルンゴルト、プロコフィエフ、ヒンデミットの各作品との関わりが具体的なエピソードとともに描かれるほか、レオン・フライシャーやミシェル・ベロフら実演者による証言も収録。ヴィトゲンシュタイン本人の演奏から現代奏者へと繋がる編集など見どころを紹介する一方、字幕や人物テロップ、エンドクレジットが用意されていない点など、資料として視聴する際の注意点にも触れています。
【ピアノ】片手ピアノ関連ドキュメンタリー映画「大戦時代の音楽」レビュー
第一次世界大戦が音楽界にもたらした影響を描いたドキュメンタリー映画「Music, Power and Revolution Part I – Music in the Time of the Great War」(2016年、アンドレアス・モレル監督、medici.tv配信・日本語字幕あり)の紹介記事。作品全体は大戦期の作曲家たちを幅広く扱う内容ですが、本編47分過ぎから約3分間、ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」とパウル・ヴィトゲンシュタインを取り上げる場面があり、捕虜生活中の練習エピソードや1933年パリ公演に関連するとされる演奏映像、ピエール=ローラン・エマールによる楽曲解説などが紹介されています。片手ピアノがテーマの作品ではない点に留意しつつ、ヴィトゲンシュタイン関連の映像資料の一つとして押さえておきたい一本です。
【ピアノ】片手ピアノ関連ドキュメンタリー映画「Die Martins-Passion」レビュー
ブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスを追ったドキュメンタリー映画「Die Martins-Passion」(2003年制作、イレーネ・ランゲマン監督)のレビュー記事。度重なる怪我やジストニアによって両手での演奏が困難になっていく過程と、その中でバッハ=ブラームス「シャコンヌ」やスクリャービン「左手のためのノクターン Op.9-2」、ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」といった左手作品が重要な意味を持つようになる様子を追っています。左手ピアノの歴史や作品を体系的に紹介する内容ではありませんが、一人のピアニストが身体的な困難と向き合いながら音楽を手放さなかった軌跡を映像で辿れる資料として紹介しています。
【ピアノ】片手ピアノ関連映画「マイ・バッハ 不屈のピアニスト」レビュー
同じくマルティンスを題材とした劇映画「マイ・バッハ 不屈のピアニスト」(Joao, o Maestro、2017年ブラジル制作、マウロ・リマ監督)のレビュー記事。「Die Martins-Passion」が本人への取材を中心としたドキュメンタリーであるのに対し、こちらは俳優がマルティンスを演じる劇映画である点が大きな違いです。本編100分頃に描かれる、ラヴェル「左手のためのピアノ協奏曲」をめぐる左手演奏の場面を中心に、その前後の展開を左手ピアノとの関わりという視点から振り返っています。なお、劇中で流れる演奏は、俳優の演技にマルティンス本人による実際の録音演奏を重ねたものが使用されました。
片手ピアノ学習参考映像ライブラリー:演奏・歴史を学ぶ厳選映像資料集
片手ピアノの演奏や歴史を学ぶうえで役立つ映像資料をまとめています。学習参考映像を探している方はご活用ください。
► 終わりに
資料探しは事典・専門書・音源のどれか一つで完結するものではなく、組み合わせて初めて全体像が見えてきます。まずはリサーチ方法の記事に目を通してから、必要に応じて各資料へ進んでいただくのがおすすめです。
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