【ピアノ】左手作品から読み解く作曲家シリーズ 記事まとめ
► はじめに
左手のために書かれた作品を軸に、その作曲家自身の人物像や時代背景を読み解くシリーズ記事をまとめました。
左手ピアノ音楽の黎明期から現代まで、時代を追って紹介します。有名な作曲家から、左手ピアノ音楽の歴史を語るうえで欠かせないものの一般にはあまり知られていない作曲家まで取り上げています。
► 記事一覧
【ピアノ】左手作品から読み解くルートヴィヒ・ベルガー:左手のために書かれた最初期の出版作品
メンデルスゾーンの師であり「無言歌集」の原型を生み出したとも評されながら、現代ではほぼ忘れられた存在となったルートヴィヒ・ベルガー(1777–1839)を解説。1817年頃に腕の神経障害に見舞われ、それと関連が感じられる左手作品を遺しました。「12の練習曲 Op.12 より 第9曲」(1820年頃)は、左手のためだけに明確に書かれた作品として、おそらく最初に出版されたピアノ作品と言われています。左手ピアノ音楽の歴史がどこから始まったのかを、その起点となった一曲から読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くマルクスゼン:ブラームスの恩師が遺した片手の音楽
ブラームスの師として知られるエードゥアルト・マルクスゼン(1806–1887)が残した左手作品2曲(Op.33 第2曲、Op.40)を解説します。いずれも1844年前後の作品で、ドライショクとヘンゼルトという当代一流の技巧派ピアニストへの献呈作品です。左手ピアノ音楽の黎明期に、教育者・作曲家がどのような眼差しをヴィルトゥオーゾ文化に向けていたかを読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くリスト:二つの作品に見る作曲家の素顔
両手を縦横に駆使するヴィルトゥオーゾのイメージが強いリストですが、片腕の弟子ゲザ・ジチーのために書き下ろした「ハンガリーの神 S.543」と、初期版に左手独奏パッセージを含む「ペトラルカのソネット 第104番」という、わずかながら左手にまつわる作品を残しています。本記事ではその背景と音楽的特徴を解説しており、華やかなヴィルトゥオーゾとは異なる内省的なリストの姿が浮かび上がります。
【ピアノ】左手作品から読み解くドライショク:片手で二人分を弾いた男
左手のみでコンサートを公に行った最初のピアニストとして記録されるアレクサンダー・ドライショク(1818–1869)の人物像と、彼が残した左手作品2曲(Op.22、Op.129)を解説します。「2本の右手を持つ男」と呼ばれた超絶技巧の実像を、同時代の批評や証言をもとに読み解きます。左手独奏というジャンルの歴史的起点を知るうえで、外せない一本です。
【ピアノ】左手作品から読み解くフマガッリ:28歳で逝った「ピアノのパガニーニ」
19世紀中頃のパリとミラノで「ピアノのパガニーニ」と称されたアドルフォ・フマガッリ(1818–1856)の人物像と、彼が残した左手作品を解説します。ヴェルディ、ベッリーニ、マイアベーア、ロッシーニなどのオペラを素材にしたトランスクリプションを中心に、各作品の書法上の特徴・限界を分析します。リストへの献呈作である「《ロベール・ル・ディアーブル》大幻想曲 Op.106」を筆頭に、左手で聴衆を驚倒させた演奏家の実像を批評や証言から読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くボナミーチ:膨大な練習曲が語るもの
ナポリ音楽院の書記からピアノ教師となったフェルディナンド・ボナミーチ(1827–1905)を取り上げます。ドライショクやフマガッリが左手演奏の技巧的・演奏会的な魅力を追い求めたのに対し、ボナミーチは左手技術の体系化という明確な意図のもと、膨大な数の練習曲・練習パッセージを書き残しました。Op.271〜273の3曲集を通じて技術的な訓練から音楽的な性格的練習曲へと重心が移っていく構成や、イシドール・フィリップ校訂版の序文、ボナミーチ自身による丁寧な演奏指示まで、地道に左手技術の土台を築いた作曲家の仕事を読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くジチー:片腕だけで演奏会を切り開いた伯爵
15歳で狩猟中の事故により右腕を失いながら、片腕だけで本格的な演奏会活動を切り開いたハンガリー伯爵ゲザ・ジチー(1849–1924)の人物解説記事です。両手を使える身体条件のもとで左手作品に取り組んだドライショクやフマガッリとは異なり、右腕を失った現実の中から自らのレパートリーを築き上げた演奏家でした。リストとの深い師弟関係・友情や、「6つの練習曲」「左手のためのピアノソナタ」などの自作、J.S.バッハ「シャコンヌ」やシューベルト「魔王」の編曲まで、その生涯と作品群を読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くブルーメンフェルド:ゴドフスキーに捧げられた1905年の左手練習曲
指揮者・ピアニスト・作曲家・教師という四つの顔を持ちながら、いずれの分野でも評価されつつ歴史の表舞台からは退いてしまったフェリックス・ブルーメンフェルド(1863-1931)の人物解説記事。1905年にゴドフスキーへ献呈された「左手のための練習曲 Op.36」を軸に、13年後に自ら右半身の麻痺を患うという運命との重なりや、シモン・バレル、レオン・フライシャー、ジェームズ・トッコ、ジョン・コリリアーノへと連なる、一曲の音楽的継承の広がりを読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くヨゼフ・ホフマン:ルービンシュタイン唯一の弟子が遺した片手の練習曲
ポーランド系アメリカ人のピアニストとして、ショパン演奏において20世紀前半に並ぶ者のない存在と評されたヨゼフ・ホフマン(1876–1957)の人物解説記事です。アントン・ルービンシュタインが正式に個人教授した唯一の弟子という経歴を持ちながら、作曲家としては筆名も用いつつ100曲以上を発表するなど、演奏家と作曲家という二つの顔をあえて切り離していた人物です。自身の名義で発表した数少ない作品の一つ「左手のための練習曲 ハ長調 Op.32」を軸に、70以上の発明特許を持つ発明家としての顔にも触れながら、その美学を読み解きます。
【ピアノ】左手作品から読み解くリパッティ:逸話に彩られた左手のソナチネ
33歳で夭折したルーマニアのピアニスト=作曲家ディヌ・リパッティが、作曲クラスの仲間とともに師の誕生日に贈るために書いたとされる、3楽章の左手のためのソナチネを取り上げます。五線紙が足りなかったという逸話や、片脚の恩師へのブラックユーモアという解釈など、成立事情が独特な作品です。演奏家としての知名度に比べて作曲家としての側面はあまり知られていないリパッティの、もう一つの顔に触れることができます。構想から完成まで数年を経たこの小品の背景と音楽的特徴を解説しています。
【ピアノ】左手作品から読み解くラウル・ソーザ:右手の負傷が開いた、もう一つのキャリア
両手のピアニストとして国際的なキャリアを築きながら、1980年の右手負傷がきっかけで左手演奏に本格的に取り組んだアルゼンチン生まれのカナダ人ピアニスト、ラウル・ソーザの人物解説記事。J.S.バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」やラヴェル「ラ・ヴァルス」、ストラヴィンスキー「火の鳥」など、自ら左手用に編曲した大作から、オリジナル作品「左手と弦楽オーケストラのための協奏曲」まで、演奏家と作編曲家の両方の顔を持って歩んだキャリアを読み解きます。
► 終わりに
左手作品の魅力だけでなく、それを生んだ人物の背景まで知ると、作品の見え方や楽しみ方が変わってきます。以下のリンクより、楽曲個別記事もあわせてお読みください。
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