【ピアノ】左手音楽から読み解く音楽家シリーズ 記事まとめ

【ピアノ】左手音楽から読み解く音楽家シリーズ 記事まとめ

► はじめに

 

左手のための音楽を世に広めていった音楽家たちの人生に焦点を当て、その歩みを通して左手音楽の歴史を読み解くシリーズ記事をまとめました。

作曲家が生み出した作品だけでなく、右手の負傷や病、事故などをきっかけに左手音楽と出会い、埋もれていた作品を発掘し、ときには新作を委嘱しながらレパートリーを切り拓いていった音楽家たちの物語を紹介しています。なお、両手の名手でありながら左手作品を後世に伝えた重要な音楽家も取り上げています。

左手のために書かれた作品を軸に、作曲家自身の人物像や時代背景を読み解くシリーズは、姉妹シリーズ 【ピアノ】左手作品から読み解く作曲家シリーズ 記事まとめ をご覧ください。

 

► 記事一覧

‣ 左手音楽から読み解く音楽家シリーズ

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くヴラディーミル・ド・パハマン

ショパン弾きとして一世を風靡し、同時に稀代の奇行の人としても知られたロシア出身のピアニスト、ヴラディーミル・ド・パハマンの人物解説記事。右手を負傷したわけでも、左手作品を専門としたわけでもない両手の名手でありながら、1912年にゴドフスキーによるショパン「革命のエチュード」左手独奏編曲を世界で初めて録音し、演奏至難とされていたこの難曲を初期の録音メディアを通じて後世に伝えました。作曲家・編曲家としてではなく、録音を通じて左手音楽の歴史に足跡を残した稀有な例として紹介します。

 

【ピアノ】パウル・ヴィトゲンシュタイン 完全ガイド:右腕を失ったピアニストが切り拓いた「左手音楽」の世界

第一次世界大戦での負傷がきっかけで右腕を失いながらも、豊富な資産と人脈を背景に、コルンゴルト、ラヴェル、プロコフィエフ、ブリテンら同時代を代表する作曲家たちへ次々と新作を委嘱していったオーストリアのピアニスト、パウル・ヴィトゲンシュタインの人物解説記事。「既存の曲を探す」だけではなく「新しいレパートリーを作曲家に書いてもらう」という発想への転換は、後世の演奏家たちにも受け継がれていきました。左手音楽史における委嘱文化の原点とも言える生涯を読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くレイモンド・レヴェンタール

暴漢に襲われ両腕を骨折するという大怪我を経て、フランス・ロマン派の作曲家アルカンの研究に打ち込むようになったアメリカのピアニスト、レイモンド・レヴェンタールの人物解説記事。1972年に出版された「Piano Music for One Hand」は、左手音楽を体系的に学べるアンソロジーとして、現在も広く利用され続けています。編纂者・校訂者として左手音楽の普及に大きく貢献したレヴェンタールの歩みを読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くジークフリート・ラップ

第二次世界大戦の東部戦線で右手を負傷しながらも、左手でピアニストとしての道を歩み続けたドイツのジークフリート・ラップの人物解説記事。ヴィトゲンシュタインに拒絶され長く封印されていたプロコフィエフ「ピアノ協奏曲 第4番 Op.53」を、作曲から25年の時を経て世界初演したエピソードを中心に、左手作品の新たな歴史を切り開いた音楽家の生涯を読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くハリエット・コーエン

J.S.バッハ演奏の権威として、また同時代の作曲家たちから数多くの作品を献呈されたイギリスの女流ピアニスト、ハリエット・コーエンの人物解説記事。1948年、トレイを運んでいた際の負傷がきっかけで右手の自由を失い、以後1951年頃まで左手のみで演奏活動を続けました。長年関係を築いた作曲家アーノルド・バックスが、左手演奏という一種の制約と、彼女の小さな手というもう一つの制約とも向き合いながら書き上げた「コンチェルタンテ」誕生の経緯を中心に、その生涯を読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くレオン・フライシャー:ジストニア、左手レパートリー、そして復帰

若くして輝かしいキャリアを築きながら、1960年代半ばに右手の異変に見舞われたアメリカのピアニスト、レオン・フライシャーの人物解説記事。演奏活動が制限されるなか、指揮・教育・左手レパートリーへと活動の重心を移し、サクストンやヘンツェら作曲家への委嘱も含めてレパートリーを広げていきました。両手演奏復帰、そして左手作品を軸にした演奏家・教育者としての生涯を読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くゲイリー・グラフマン:右手の故障から生まれた新たなレパートリー

両手のヴィルトゥオーソとして国際的なキャリアを築きながら、50歳前後で右手に局所性ジストニアを患ったアメリカのピアニスト、ゲイリー・グラフマンの人物解説記事。コルンゴルトの左手協奏曲を再びレパートリーへ引き戻し、複数の作曲家に新作を委嘱するなど、演奏家・委嘱者として左手音楽のレパートリーそのものを拡張していった生涯を読み解きます。

 

【ピアノ】左手音楽から読み解くジョアン・カルロス・マルティンス

18歳での右手の異変(後年ジストニアと判明)に始まり、サッカー事故による尺骨神経損傷、そして暴漢による襲撃、手術の失敗、そして左手にまで現れた病のサインと、幾度もの困難に見舞われながらも音楽を続けたブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの人物解説記事。1996年のカーネギーホール復帰公演でラヴェルの左手協奏曲を選んだエピソードなど、左手音楽が「代替手段」を超えて音楽を続けるための表現手段となっていった生涯を読み解きます。

 

‣ 番外編:右手の自由を失ったピアニストの物語

 

【ピアノ】片手音楽から読み解くシリル・スミス:左腕の自由を失ったピアニストが拓いた「3手」の音楽

活動の最盛期に左腕の自由を失ったイギリスのピアニスト、シリル・スミスの人物解説記事。右手独奏のレパートリーを求めるのではなく、妻でピアニストのフィリス・セリックとの共演を続けるため、ブリスやアーノルドら作曲家たちとともに「3手」という演奏形態を切り拓いていった生涯を読み解きます。左手演奏を追求した音楽家たちの物語とは対照的な一例として、番外編で紹介します。

 

► 終わりに

 

左手のための音楽は、作曲家だけの力で発展してきたわけではありません。作品を編纂・校訂して普及に努めた人々、作品を舞台に乗せて聴衆へ届けた演奏家、さらには新たな作品を作曲家に委嘱した音楽家たちの存在があって初めて、そのレパートリーは広がり、少しづつ歴史に残ってきました。

このシリーズでは、そうした音楽家たちの歩みを一人ひとり追いながら、左手音楽の歴史を別の角度から読み解いていきます。

 

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