【ピアノ】片手ピアノのための冬の作品特集

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【ピアノ】片手ピアノのための冬の作品特集

► はじめに

 

空気が澄み、雪や氷が街の景色を変えていく冬。ピアノ曲の世界でも、この季節は多くの作曲家の想像力をかき立ててきました。

片手のためのレパートリーにも、雪片の舞いや凍てつく空気、冬の夜空に揺らめくオーロラ、スケートの楽しさ、そして雪どけの喜びまで、冬をさまざまな角度から感じさせてくれる作品が存在します。

本記事では、左手・右手それぞれのために書かれた作品から、曲名や楽曲の特徴、題材などを手がかりに、冬にまつわる作品を集めました。情景や性格ごとに作品を紹介するほか、記事の後半には難易度別の早見表と、演奏機会に応じたおすすめをまとめています。冬の発表会やクリスマス会の選曲、季節感のあるレッスン教材探し、聴いて楽しむ作品探しなどに、ぜひお役立てください。

なお、曲名の後ろの[LH]は左手のための作品、[RH]は右手のための作品を表します。3手連弾作品など、独奏以外の演奏形態については個別に記載しています。

 

► 冬の片手作品特集

‣ 1. ちらちらと舞う雪を感じる作品

 

まずは、降りしきる雪や、風に舞う雪片を感じる作品から。どちらも右手のための曲で、軽やかな音の動きが雪の質感を伝えてくれます。

 

· Melody Bober(メロディ・ボバー)「Falling Snow」 [RH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

アメリカの作曲家・ピアノ教育者であるメロディ・ボバー(1955- )は、初級〜中級の学習者向けに数百曲に及ぶ作品を書いてきました。ジャズの素養を持ち、Alfred Musicなどから発表された教材は、指導の現場で長年にわたり愛用されています。

本作は、全6巻の片手用教材シリーズ「Grand One-Hand Solos for Piano」のBook3に収められた、右手のための独奏曲です。

収録:Grand One-Hand Solos for Piano, Book3(2012年、Alfred Music)
演奏時間:約1分20秒
難易度:ブルグミュラー25の練習曲入門程度
分類:オリジナル作品(独奏)
楽譜:【ピアノ】Melody Bober「Grand One-Hand Solos for Piano」シリーズ 完全ガイド

 

曲全体を貫くのは、上がっては下がるジグザグの動きを繰り返しながら、少しずつ音域を下げていくパッセージ。空から雪がひらひらと舞い降りてくる様子が、目に浮かぶようです。

下段で響く和音は完全5度が主体となっており、その空虚な響きが、冬の張りつめた冷たい空気を思わせます。短く、技術的な負担も比較的軽いため、冬のレッスンで季節感を味わう一曲としても取り入れやすいでしょう。

 

· Harry Meyerowitz(ハリー・マイヤーウィッツ)「Waltzing Snowflakes」 [RH]

 

※作曲者の生没年が不詳であり、著作権保護期間の確定が困難なため、譜例の掲載は控えております。

 

ハリー・マイヤーウィッツは、生涯についての情報は乏しいものの、ピアノ曲の出版記録が残る作曲家です。ここで取り上げる右手作品は、教育用教材として紹介されてきました。

「Waltzing Snowflakes(ワルツを踊る雪片)」は、右手のための小品集「Three Piano Compositions for the Right Hand Alone(右手のための3つのピアノ曲)」の第2曲にあたります。

収録:Three Piano Compositions for the Right Hand Alone(第1曲 Gavotte、第2曲 Waltzing Snowflakes、第3曲 An Old Chinese Music Box)
出版年:1941年頃、1942年、1944年(出版年が分かれているとされる)
難易度:ツェルニー30番中盤程度
分類:オリジナル作品(独奏)
楽譜:Three Piano Compositions for the Right Hand Alone / Harry Meyerowitz(classicalondemand.com)

 

楽譜の書き方に特徴のある一曲。メロディの声部がたびたび大譜表の上段と下段を行き来し、その受け渡しが線で示されています。

2・3拍目に和音を置くワルツらしい伴奏型は、ときおり姿を見せてはふっと途切れます。全体として線の細い、繊細な書法でまとめられており、風に乗ってくるくると舞う小さな雪片を思わせます。

 

‣ 2. 雪景色と冬の静けさを感じる作品

 

続いては、雪に包まれた風景や、冬ならではの静寂、孤独感を感じさせる作品です。いずれも左手のための曲で、しっとりとした味わいがあります。

 

· John Franklyn(ジョン・フランクリン)「In a Snow-clad Vale」 [LH]

 

※作曲者の生没年が不詳であり、著作権保護期間の確定が困難なため、譜例の掲載は控えております。

 

ジョン・フランクリンはアメリカのオハイオ州シンシナティのWillis Musicから、左手のための小品集を世に出している作曲家です。

「In a Snow-clad Vale(雪におおわれた谷で)」は、全6曲からなる「Dainty Novelettes for the Left Hand Alone(左手のための可憐な小品集)」の最後を飾る一曲。「A Winter Lullaby(冬の子守歌)」という副題が添えられています。

青一色で刷られた表紙は、植物の蔓を思わせる曲線の飾り枠が題名を取り囲む優美なデザインで、「Dainty(可憐な)」というタイトルにふさわしい趣があります。

収録:Dainty Novelettes for the Left Hand Alone(第6曲)
出版:1915年〜1925年(推定)、The Willis Music Co.(オハイオ州シンシナティ)
難易度:ツェルニー40番中盤程度
分類:オリジナル作品(独奏)
楽譜:欧州の古書市場などで稀に出回ることがある

 

曲集は、第1曲「鐘楼のこだま」から始まり、「春のそよ風のワルツ」「露の庭で」「ひとときの夢」「森の空き地」と進んで、この「冬の子守歌」で締めくくられます。季節が巡っていくような曲順も、なかなか魅力的に感じることでしょう。各曲には短い詩句が添えられています。

曲集全体は、穏やかで短いサロン風の作品で構成されています。運指とペダルが書き込まれ、各曲がおおよそ2ページ程度に収まっていることから、教育的な用途も想定されていたのかもしれません。雪景色の中で、そっと子守歌を口ずさむような、やわらかな時間を味わえる一曲です。

 

· Margaret S. Brandman(マーガレット・S・ブランドマン)「Winter Piece」 [LH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

マーガレット・S・ブランドマン(1951- )は、オーストラリア出身の作曲家・ピアニストです。教育分野でも先駆的な教材づくりで知られ、同国の音楽検定では多くの作品が課題曲に選ばれてきました。

邦題:ウィンター・ピース(左手のための)
出版年:1992年頃
演奏時間:約4分50秒
難易度:ツェルニー40番修了程度
分類:オリジナル作品(独奏)
献呈:セルマ・エプスタイン
楽譜:欧州の古書市場などで稀に出回ることがある

 

楽譜の大部分は1段譜で書かれていますが、広い音域にまたがるアルペッジョが続くなど、技術面ではそれなりの準備が求められます。

曲全体を覆っているのは、ほの暗さと孤独の気配。中盤では同じ音型を繰り返すオスティナートが現れ、終盤には高音域で単音が連なっていきます。こうした書法からは、凍てついた冬の風景や、ひとり佇む人物の姿を連想することもできるでしょう。華やかさよりも、冬の内省的な一面をじっくり味わいたい方におすすめしたい作品です。

 

‣ 3. 氷と吹雪、オーロラを「色」と「光」で感じる作品

 

ここでは、冬の情景を色彩や光として感じる、現代の作品を紹介します。

 

· Robert Schultz(ロバート・シュルツ)「Ice Blue」「Blizzard White」 [LH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

ロバート・シュルツ(1948- )は、アメリカの作曲家・編曲家で、1980年には「The Schultz Piano Library(自作・編曲作品を中心とした教材シリーズ)」を立ち上げました。

「Ice Blue(氷の青)」と「Blizzard White(吹雪の白)」は、左手のためのピアノ独奏曲集「Colorscape, Op.62(カラースケープ)」の第3曲と第4曲です。曲集の中で連続して配置されているため、ここでは2曲をまとめて取り上げます。

邦題:カラースケープ(左手のためのピアノ独奏曲集)
収録:Colorscape, Op.62: Piano Solos for the Left Hand(第3曲・第4曲)
作曲年:2022年11月に完成
出版:Schultz Music Publications(カタログ番号 SMP565、デジタル版は SMP565D)
演奏時間:曲集全体で約13分30秒
難易度:ツェルニー40番修了程度
分類:オリジナル作品(独奏)
校訂:ティナ・ファイゲン(Tina Faigen)
委嘱・初演:ピアニストのウォルター・モラレス(Walter Morales)のために作曲され、2024年2月16日にピッツバーグで初演
楽譜:Colorscape Op. 62 Piano LH / Robert Schultz(schultzmusic.com)

 

曲集は「Forest Green(森の緑)」「Brick Red(レンガ色の赤)」「Ice Blue(氷の青)」「Blizzard White(吹雪の白)」「Flaxen Yellow(亜麻色の黄)」「Pitch Black(漆黒)」の6曲から成り、ゆっくりした曲と速い曲が交互に並ぶ構成をとっています。

出版社の紹介によれば、この作品は、左手のための作品だけで構成する演奏会を計画していたモラレスからの依頼で生まれたもの。ピアノの音域と表現力を余すところなく使い、ドラマ性や叙情性、現代的で美しい和声、力強さを兼ね備えた作品だと説明されています。

機能和声に基づく伝統的な書法とは異なりますが、響きそのものには親しみやすさがあります。音を必要以上に重ねず、空間や空気感を大切にした書法も印象的です。氷の冷たい青と、吹雪の白という対照的な2色を続けて演奏すれば、冬の多彩な表情を一度に伝えられるのではないでしょうか。もちろん、曲集全体を通して演奏するのも聴きごたえがあります。

作曲家自身のYouTubeチャンネルで、モラレスによる演奏を聴くことができます。

 

· Þórður Magnússon(ソールデュル・マグヌッソン)「オーロラの舞」 [LH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

ソールデュル・マグヌッソン(1973- )は、アイスランド・レイキャヴィーク生まれの作曲家で、作品は北欧諸国をはじめ、日本を含む各国で演奏されています。

「オーロラの舞」は、左手のための組曲「Scenes of Iceland for piano (left hand)(アイスランドの風景 ピアノ(左手)のために)」の第3曲です。

邦題:アイスランドの風景 ピアノ(左手)のために より 第3曲 オーロラの舞
収録:Scenes of Iceland for piano (left hand)(第3曲)
作曲年:2013年
演奏時間:約2分10秒(組曲全体では約17分)
難易度:ツェルニー50番入門以降程度
分類:オリジナル作品(独奏)
献呈:舘野泉
楽譜:アイスランドの風景 ピアノ(左手)のために(Amazon.co.jp)

 

この組曲は、舘野泉が2013年5月の東京でのリサイタルのために委嘱した作品です。日本の聴き手には馴染みの薄いアイスランドの光や風、大気の質感を音楽で伝えてほしいという依頼に応え、作曲者は自身が幼少期を過ごしたアイスランド東部の風土や原風景をもとに、全5曲の組曲としてまとめました。曲は「東部の小川の滝」「鳥の目から見た高地」「オーロラの舞」「うららかなひと時、夏至の深夜の煌々と明るい夜に」「大河ラーガルフリョゥトのほとりを歩く」の順に並んでいます。

組曲には夏至の白夜を描いた曲も含まれており、全体が冬を題材にしているわけではありません。それでも、冬の長い夜空に揺らめくオーロラをタイトルに掲げたこの第3曲は、冬の特集にふさわしい一曲と言えるでしょう。

Allegrettoで書かれた本曲は、エチュード風の書法を持ちながら、強弱の劇的な交代によって空間的な遠近感を生み出しています。近づいては遠ざかり、明滅しながら夜空に広がっていく光のカーテン——そんな情景が、音の濃淡を通して目に浮かぶようです。高い技術が求められますが、短い演奏時間のなかに冬の夜の神秘が凝縮された、聴きごたえのある作品になっています。

 

‣ 4. 冬の楽しみを感じる作品

 

冬の季節ならではの楽しみを感じる、明るく親しみやすい作品です。初級〜中級の方や、お子さまの発表会にも向いています。

 

· June Weybright(ジューン・ウェイブライト)「To an Ice Skater」 [LH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

ジューン・ウェイブライト(1903-1996)は、アメリカの作曲家・音楽教育者です。ピアノ教本や教育用ピアノ曲を数多く出版したほか、音楽理論の教材も執筆しています。

邦題:氷上のスケーターに
作曲年:不明
出版:1956年(楽譜上の表記。初版かどうかは不明)、Belwin, Inc.(ニューヨーク州ロックヴィル・センター)
演奏時間:約1分30秒
難易度:ブルグミュラー25の練習曲中盤程度
分類:オリジナル作品(独奏)
楽譜:欧州の古書市場などで稀に出回ることがある

 

楽譜の表紙には、スケートを楽しむ雪だるまのかわいらしいイラストが描かれています。曲は素朴な音遣いによるワルツで、表紙のイメージにも通じる、親しみやすい一曲です。氷の上を滑るような軽快さを意識して演奏すると、曲の魅力がいっそう引き立つでしょう。

 

· Melody Bober(メロディ・ボバー)「Snowbird Waltz」 [LH・連弾]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

前述の「Falling Snow」と同じく、「Grand One-Hand Solos for Piano」シリーズからの一曲。こちらはBook2に収められた、左手パートを含む3手連弾曲です。

収録:Grand One-Hand Solos for Piano, Book2(2012年、Alfred Music)
演奏時間:約50秒
難易度:バイエル後半程度(片手パートの難易度)
分類:オリジナル作品(室内楽、3手連弾)
楽譜:【ピアノ】Melody Bober「Grand One-Hand Solos for Piano」シリーズ 完全ガイド

 

左手パートが低音域で最初から最後までメロディを受け持つため、冬の曲でありながら、ぬくもりの感じられるワルツに仕上がっています。

もう一方のデュエットパートは、右手による分散和音が中心。このパッセージが、舞い落ちる雪を思わせます。最後に一度だけ左手が加わる箇所がありますが、そこさえ工夫すれば、片手奏者どうしの連弾としても演奏できます。1分足らずの短い曲なので、先生と生徒の連弾や、クリスマス会でのちょっとした出し物にも重宝するでしょう。

なお、「Snowbird」は「ユキヒメドリ」という冬の小鳥のことです。

 

‣ 5. 雪どけと春の訪れを感じる作品

 

冬の終わり、雪がとけて春の気配が訪れる時期にふさわしい作品も紹介しておきます。

 

· 末吉保雄(Yasuo Sueyoshi)「雪とけて」 [LH]

 

※著作権保護期間中につき、譜例は掲載不可

 

末吉保雄(1937-2018)は東京生まれの作曲家で、左手のピアニストの舘野泉に複数のピアノ作品を献呈したことでも知られています。

「雪とけて(La neige fondant…)」は、左手のためのピアノ小前奏曲集「plein d’enfants(いっぱいのこどもたち)」の第1曲です。

収録:plein d’enfants – 6 préludes brèves pour piano m.g.(第1曲)
作曲年:2008年
演奏時間:約2分10秒(曲集全体では約15分)
難易度:ツェルニー40番修了程度
分類:オリジナル作品(独奏)
献呈:舘野泉
楽譜:いっぱいのこどもたち 左手のためのピアノ小前奏曲集(Amazon.co.jp)

 

曲集のタイトルは、小林一茶の句「雪とけて村いっぱいの子ども哉」に由来しています。雪どけを迎え、待ちかねたように子どもたちが外へ飛び出してくる――そんな情景を詠んだ句から、第1曲の題名もとられました。曲集は「子どもたち」をテーマに、作曲者が長く胸に温めてきた思いを出発点として、6曲それぞれで子どもらしい身ぶりや動きを描こうとしています。

語法は無調ですが、拍子やテンポが目まぐるしく変わるのが大きな特徴。じっとしていられず、刻一刻と表情を変える子どもたちの動きや心の動きを、音楽で捉えようとした結果と言えそうです。こうしたリズムの変化が活き活きとした動きをもたらしており、無調の音楽に慣れていない方にとっても、興味深く聴ける作品ではないでしょうか。冬の終わりから早春にかけての演奏会にも、ぜひ取り上げたい一曲です。

 

‣ 番外編:運営者による左手独奏編曲(冬関連)

 

最後に例外として、当サイト運営者による編曲作品も紹介させていただきます。

 

· Famous Melodies Arranged for the left hand alone [LH]

 

広く親しまれてきた名曲を、左手だけで演奏できるよう編曲したシリーズです。収録曲の中から、冬の演奏機会に取り上げやすい曲を挙げると、以下のとおりです。

 

曲名 原曲 ジャンル 演奏時間
雪の華 中島美嘉(作曲:松本良喜) J-POP 3:48
粉雪 レミオロメン(作曲:藤巻亮太) J-POP 3:44
白い恋人達 桑田佳祐 J-POP 3:12
アメイジング・グレイス 讃美歌 トラディショナル 2:57
ケンタッキーの我が家 My Old Kentucky Home(S.フォスター) アメリカ民謡 2:31
蛍の光 Auld Lang Syne(スコットランド民謡) トラディショナル 2:08

 

各曲の詳しい紹介や音源は、以下の記事にまとめています。

左手独奏で楽しむ名曲ピアノアレンジ集

 

一部の作品は楽譜も販売しているので、あわせてご覧ください。

楽譜ストア「One-Hand Piano Editions」

 

► 難易度別・早見表

 

今回紹介した作品のうち、運営者による編曲作品を除く作品を、難易度の目安が易しい順に並べました。選曲の参考にご活用ください。なお、難易度は作品の技術的な特徴などをもとにした目安であり、演奏者の経験や片手演奏への習熟度によっても異なります。

 

曲名 作曲者 手 難易度 演奏時間
Snowbird Waltz(連弾) メロディ・ボバー 左手 バイエル後半程度 約50秒
Falling Snow メロディ・ボバー 右手 ブルグミュラー25の練習曲入門程度 約1分20秒
To an Ice Skater ジューン・ウェイブライト 左手 ブルグミュラー25の練習曲中盤程度 約1分30秒
Waltzing Snowflakes ハリー・マイヤーウィッツ 右手 ツェルニー30番中盤程度 –
In a Snow-clad Vale ジョン・フランクリン 左手 ツェルニー40番中盤程度 –
雪とけて 末吉保雄 左手 ツェルニー40番修了程度 約2分10秒
Winter Piece マーガレット・S・ブランドマン 左手 ツェルニー40番修了程度 約4分50秒
Ice Blue / Blizzard White ロバート・シュルツ 左手 ツェルニー40番修了程度 -(曲集全体で約13分30秒)
オーロラの舞 ソールデュル・マグヌッソン 左手 ツェルニー50番入門以降程度 約2分10秒

 

► 演奏機会別のおすすめ

 

クリスマス会・冬のイベントで

短く、聴いてすぐに冬らしさが伝わる曲が向いています。「Snowbird Waltz」は連弾なので、先生と生徒、あるいは片手奏者どうしで息を合わせて楽しめるでしょう。表紙の雪だるまも愛らしい「To an Ice Skater」や、編曲作品の「アメイジング・グレイス」も、場を和やかにしてくれるはずです。

 

冬の発表会で

初級〜中級の方には、雪の舞う様子が描きやすい「Falling Snow」がおすすめです。中級以上の方なら、繊細な書法を味わえる「Waltzing Snowflakes」、雪景色の子守歌「In a Snow-clad Vale」も候補に入れてみてください。

 

本格的なリサイタル・演奏会で

じっくり聴かせたい場面では、色彩豊かな現代作品「Ice Blue」「Blizzard White」や、冬の夜空を彩る光を描いた「オーロラの舞」が存在感を発揮します。これらを続けて演奏すれば、左手作品だけでプログラムを組む場合にも、冬をテーマにした一つのまとまりとして構成しやすいでしょう。

 

年末年始に

一年を締めくくる時期には、「蛍の光」や「アメイジング・グレイス」のように、聴き手がよく知る旋律を取り入れると、会場に一体感が生まれます。楽譜を公開していない編曲も、音源で聴いて楽しんでいただけたら幸いです。

 

冬の終わり・早春に

雪どけと春の訪れを感じさせる「雪とけて」は、2月〜3月頃の演奏会にぴったり。曲集「いっぱいのこどもたち」から数曲を組み合わせて演奏するのも、変化に富んだプログラムになります。

 

► 終わりに

 

舞い落ちる雪、凍てつく氷、夜空を彩るオーロラ、アイススケートの楽しさ、そして雪どけの喜び。片手のためのピアノ作品にも、冬のさまざまな表情を映した曲が数多くあります。

なかには楽譜の入手が難しい作品もありますが、曲名や季節との関わりだけでなく、それぞれの音楽的な特徴にも注目することで、片手ピアノのレパートリーの新たな魅力が見えてくるでしょう。

今回の特集が、冬の発表会や演奏会での選曲、日々のレッスン、そして新たな作品との出会いのきっかけになれば幸いです。

 

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この記事を書いた人
タカノユウヤ

左手・片手のためのピアノ音楽を専門とし、作曲・編曲、講演などを行っています。また、当サイト「One-Hand Piano Institute」を運営し、作品・作曲家・音楽史・技術(作曲・編曲・演奏)・楽譜・文献まで、片手で演奏するピアノ音楽を多角的に紹介しています。

日本音楽コンクールをはじめ、国内外の作曲コンクールで受賞歴を持ち、これらの受賞作品はいずれも、左手ピアノを編成に含むアンサンブル作品、および、左手のためのピアノ独奏作品です。
また、大学院では左手のためのピアノ音楽における作曲・編曲をテーマに研究し、首席で修了しています。

右手の負傷をきっかけに出会った左手のためのピアノ音楽に心惹かれ、以来15年以上、この分野に取り組んできました。左手音楽の魅力と可能性を、より多くの方に知っていただけたら嬉しく思います。

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