【ピアノ】両手作品に戻るとき、片手作品をすべてゼロにしない
► はじめに
特別な事情がない限り、片手作品だけをずっと弾き続ける学習者は、それほど多くないでしょう。片方の手を痛めた期間に、もう一方の手のための作品に取り組む。あるいは、演奏会の企画として両手作品と並べて弾いてみる。片手作品との出会いには、こうしたきっかけも少なくないのではないでしょうか。
手が治ったり本番が終わったりして両手作品に戻るのは、ごく自然な流れといえます。本記事でお伝えしたいのは、「片手作品を続けましょう」という話ではありません。戻るときに、片手作品との関係まで丸ごと手放さなくてもよいのでは、という小さな提案です。
► 片手作品をすべてゼロにしない
‣ 片手作品は「特別な期間のもの」と見なされやすい
片手作品は「特別な時期にだけ弾くもの」として切り分けてしまいがちです。そう捉えてしまうと、その後も片手作品との関係を保つという発想が生まれにくくなります。
手が回復したり、本番を終えたりすると、それを機に片手作品から離れることもあるでしょう。それ自体は自然なことです。ただ、そのときに、片手作品との関係をすべて終わらせる必要まであるのでしょうか。
‣「やる/やらない」の二択で考えない
片手作品を「やるか、やらないか」の二択で捉えていると、両手作品に戻った瞬間に、片手作品とのつながりはゼロになってしまいます。
けれども、片手作品との付き合い方は「一曲を最後まで仕上げること」だけではありません。たまに弾く、少しだけ弾く、聴くだけにする。そうした関わり方も、十分に意味を持っています。
両手作品をメインに据えたまま、小さな「イチ」を残しておくだけでも構いません。
‣ 小さな「イチ」を残す4つの方法
ここからは、無理なく続けられる具体例を挙げていきます。すべてを実行する必要はなく、できそうなものを一つ選ぶだけで十分です。
1. 3か月に1曲だけ片手作品を弾く
「毎日練習する」と決めると、かえって負担になることもあります。そこで、「3か月に1曲」くらいの緩い設定にしてみてください。短い小品でも問題ありませんし、以前弾いた曲の弾き直しでもいいでしょう。このくらいの頻度であれば、両手作品を中心とした練習生活の中にも取り入れやすいはずです。
2. 初見練習を片手作品で行う期間を作る
たとえば「今月の初見練習は片手作品で行う」と決めてしまう方法があります。初見なので、仕上げる必要はありません。
これは、片手作品を「完成させる対象」から「日々の練習素材」へと位置づけ直す発想です。片手作品では、旋律も和声も広い音域も一方の手で受け持つように書かれた楽譜を読むことになります。両手作品とは異なる初見や譜読みの経験を積む機会としても活用できるでしょう。
3. 数小節だけ弾いてみる
一曲に取り組む時間がないときは、数小節だけでも十分です。
当サイトの 左手ピアノ作品ライブラリー:作曲家別(右手作品も掲載)では、パブリックドメインの作品について数小節の譜例を掲載し、簡潔な解説を添えています。解説をさっと読み、譜例をさっと弾いてみる。数分でもできる取り組みですが、未知の作品との出会いにもなり得ます。
4. 演奏しなくても、聴いてみる
もっともハードルが低いのが「聴くこと」です。ピアノに向かう時間が取れない日でも、片手作品を1曲聴くだけならそれほど難しくありません。
何を聴けばいいか迷う場合は、片手ピアノ学習参考音源ライブラリー:演奏解釈を学ぶ厳選録音集 を活用してください。弾かない時期であっても、耳を通じて片手作品の響きに触れていれば、関係が完全に途切れることはありません。
► 終わりに
片手作品からしばらく離れるのも、もちろん自由です。一方、両手作品に戻ることと、片手作品を完全にやめることは、同じではありません。
3か月に1曲弾く、初見練習の素材にする、数小節だけ弾く、あるいは聴くだけでもいいのです。そんな小さな「イチ」を残しておけば、片手作品との関係を保ちやすくなります。そして、これまで知らなかった作品に出会うきっかけにもなるでしょう。
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