片手ピアノ学習参考音源ライブラリー:演奏解釈を学ぶ厳選録音集
► はじめに
ピアノ学習において、優れた演奏を聴くことは楽譜から読み取れない音楽表現を学ぶ重要な手段です。
本ライブラリーでは、片手ピアノ学習のために厳選された録音音源をまとめました。網羅的なリストではなく、選択的なコレクションです。実践的な学習支援を目的とし、各音源には演奏時間、推奨ポイントなどを明記。学習段階に応じた音源選択をサポートします。
► コンテンツ一覧
‣ ヴァクフゼン「Für die linke Hand allein」
左手のためのピアノ作品を時代順に収録した、ジャンルの歴史をたどれる一枚。バロックから20世紀前半までを網羅しており、左手作品というジャンルの歴史的な流れを俯瞰できます。
・リリース年:2002年(2016年 再発盤)
・演奏:アニヤ・ヴァクフゼン
・収録曲:ベルガー、マルクスゼン、リスト、サン=サーンス、ポンセほか 全11曲
・特徴:落ち着いた演奏解釈で、各作品の内省的な側面を引き出す
・推奨ポイント:左手作品最初期の楽曲や歴史的重要作を含む
・総収録時間:66分
‣ ポール・コーカー「Malgré Tout…Piano music for left hand」
有名な左手作品の名曲から、演奏者自身による編曲の大曲、知られざる現代作品までを一枚に収めたプログラム。収録されている編曲作品すべてにコーカー自身の手が加えられており、演奏家であると同時に編曲者としての個性が強く表れた録音です。
・リリース年:2012年
・特徴:コーカー自身による編曲作品を軸にプログラムが組まれている
・推奨ポイント:コーカー編「J.S.バッハ:異教徒の救い主よ BWV659」や、メルソンの2007年作品の収録
・総収録時間:75分44秒
‣ “Mit links” — Der Pianist Paul Wittgenstein
パウル・ヴィトゲンシュタインの演奏によるラヴェル「左手のための協奏曲」(1937年録音)、ジュリアス・カッチェンとブリテン指揮によるブリテン「ディヴァージョンズ Op.21」(1954年録音)、リパッティ自身の演奏による「左手のためのソナチネ」(1943年録音)を収録した1枚。左手ピアノという分野を象徴する音源が一枚に揃っています。
・リリース年:2012年
・特徴:モノラル録音でやや聴きづらい面はあるが、資料としても重要な音源
・推奨ポイント:その作品の重要人物(委嘱者、作曲者)による演奏が収録されている
・総収録時間:48分
この音源については、関連記事で詳しく取り上げています:
・【ピアノ】なぜ、ラヴェルの左手協奏曲は傑作なのか?:左手音楽史から読み解く
・【ピアノ】ラヴェルとブリテンの左手協奏曲:対照的な二つのコンセプトを比較する
・【ピアノ】左手作品から読み解くリパッティ:逸話に彩られた左手のソナチネ
‣ ステファン・ヴァルズィッキ「Piano Music for the Left Hand」
J.S.バッハに始まりJ.S.バッハに終わる構成の中に、サン=サーンス、フランク・ブリッジ、リパッティ、フランツ・シュミット、スクリャービンといった近現代の左手作品を配したプログラム。録音数の少ないフランツ・シュミット「左手のためのトッカータ」や、スクリャービンのOp.9を素材にしたT・K・マーレイの現代作品など、珍しい選曲に出会える一枚です。
・リリース年:2015年
・特徴:軽やかで統一感のある近現代作品中心のプログラム構成
・推奨ポイント:フランツ・シュミット「左手のためのトッカータ」など、比較的珍しい選曲も収録
・総収録時間:78分52秒
‣ ジョヴァンニ・ネシ「Original and Transcribed Piano Music for the Left Hand」
バロックから現代までを一枚に収めた、左手のためのピアノリサイタルのライブ録音。編曲作品の比重が大きく、演奏だけでなく編曲者としてのネシの一面もうかがえるプログラムです。ジチーなど、録音機会の少ない作曲家の作品に加え、2023年に書かれた新作を含む2曲の世界初録音を収録しており、左手ピアノというジャンルを知るのに適した一枚です。
・リリース年:2024年
・特徴:ソリーニ、ルッソの2曲は世界初録音。J.S.バッハで始まりJ.S.バッハで終わる構成
・推奨ポイント:ポンセ「マルグレ・トゥー」における、ヴィトゲンシュタイン奏法の実践例
・総収録時間:79分48秒
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